こんばんは、はっちです^^
今回は謎解きと関係はあるのですが、それが題材になっている本の紹介です。
本屋さんでおすすめ本として紹介されていて、さらに脱出ゲームが背景になっていると聞いたら、読まずにはいられないじゃないですか。
脱出ゲームを題材にしたミステリー小説 ”時限病棟”
実業之日本社文庫
知念 実希人
タイムリミットは6時間。脱出できるのか――
最速一気読み! 究極のどんでん返し!!目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。
なぜこんな場所にいるのか? 監禁された男女5人が、拉致された理由を探る……。
ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事。
タイムリミットは6時間。謎の死の真相を掴み、廃病院から脱出できるのか!?amazon 商品紹介より引用
わくわくしますね。
病棟がタイトルに入っていることでもわかりますが、舞台は病院です。
病院ということもあって、中々不気味な演出と手術、そして、治療といったかなり生々しい表現が出てきます。
その恐怖がまた脱出をするまでの緊張感を煽ってきます。
脱出するには、監禁した犯人が用意した「脱出ゲーム」クリアしていく必要がありますが、
読者が解けるかと言ったら、中々微妙です。
解けるものもありますが、実際にその場にいて、感じないとわからないのでは、というのもあったりするので真剣に謎解きをしようと立ち止まる必要は無いかなと思います。
ゲームなのか?確定殺人なのか?
監禁された男女の中には「脱出ゲーム」を何度も経験している人がいますが、
それ以外の人は素人。
「謎を解けば、脱出できる!」
と、どれだけ説明しても、そんなことをする必要があるのか?それだって罠かもしれない!と当然の反応をします。
確かにそうですよね。謎があるから謎を解く。というのは謎好きな話であって。
本当に脱出したいんだったら、力づくで脱出しようとしますよね。
そのためか、5人の男女はほとんどのタイミングで言い争いになります。
物語の内容の多くは、その言い争いと、それぞれの秘密の暴露になります。
ただ、その会話のテンポ、もどかしさ、それらも制限時間の決められた閉鎖空間の中での焦りにつながり、呼んでいる側もハラハラさせられます。
辛口点。(ネタバレ含みます)
大掛かり過ぎる仕掛け
病院が舞台であり、作者も医療関係者なのでとても病院の描写が詳細で不安を掻き立てられます。
ただ、どうにもこうにも、轟音とともに壁が開いたり、ボタンを押したら声もほとんど通さないぐらい分厚い壁が落ちてきて密閉される仕組みは理解できません。
脱出ゲームの演出だとしても、さすがに病院にそれだけの仕掛けを作るだけでとんでもない設備投資とスペースが必要です。
さらに脱出ルートがあるにも関わらず、設置された地下道。
後付の地下道の作成。さらに室内での工事はかなり大規模になったものでしょう。
さらにそれだけ大規模な地下工事が行われ、その入口がくまなく探索した(であろう)部屋にあった、という点も不自然です。
手術に関しての知識の深さと表現の緻密さ。トリックの仕込み方などが精巧に書かれているだけに、その他の点との落差が目立ってしまっているような気がします。
足跡が無い
ほこりの積もった廃病院が設定であることから、犯人があらゆる謎を仕掛けるために動き回る必要があるのですが、その時の足跡についての記述が一切ありません。
隠し扉や、秘密の入り口などは煌々と照らされた蛍光灯の下で見れば、きっと気づくはずです。
ポリタンクにガソリンはとても危険
ガソリンスタンドでポリタンクに詰めることも法律違反です。その理由は扱いがとても危険だから。
ガソリンスタンドで大量のガソリンをポリタンクに詰めていれば当然気が付かれます。
ガソリンはかなりの危険物。それだけの量を裏から流せば、当然気が付かれます。
管理者の方が罰せられるか、そこから足がつくか。
いや、裏ルートだし。
で片付けるには大きすぎる動きになります。違う方法もあったのでは。
まとめ
”謎解き”を期待して読み始めるとがっかりするかもですが、あくまでも脱出ゲームを舞台にした小説であり、その緊迫感や人の心の動きは実際にそうなるだろうという感じがひしひしと伝わってきます。
脱出失敗!うわぁ~残念!
ではないリアルな死が待つ脱出ゲーム。
その状況は想像でしかありませんが、ゲームとして成り立つことのほうが少ないかもしれませんね。
その様子がとても伝わるような小説になっています。
脱出ゲームが好きな方はぜひ読んでみてはどうでしょうか。
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